何気なくテレビを見ていたら、旅行代理店の事務机のそばに、オイルヒーターが映っていました。オイルヒーターはヨーロッパでは広く普及しているようですが、日本ではあまり見かけなかったので、ちょっと気になりました。
日本でオイルヒーターの普及が遅れていたのは、木造住宅が多かったからのようです。木造住宅は気密性が低く、すき間風などが吹き込むようなところでは暖気が失われてしまうのでオイルヒーターは不向きでした。
それでも、気密性の高い鉄筋コンクリート造のマンションが増えてきたり、木造でも気密性が改善されてきているため、日本でもオイルヒーターの使用が増えてきているようです。
オイルヒーターの代表的なメーカーというと、イタリアの家電ブランドのデロンギが有名です。デロンギのオイルヒーターは小型のモデルから高機能なモデルまで数多くの機種があり、多くの機種に自動で電気代を制御してくれるエコ運転機能が搭載されています。また、多くのグッドデザイン賞を受賞するほどデザインも高く評価されています。
デロンギの他にも、日本ではユーレックスがオイルヒーター専門のメーカーとして国内で生産しています。小型のモデルから13畳まで暖めることができるモデルなど機種も豊富にあります。また、前輪をなくして安定性を良くし倒れにくいようにしたり、転倒時にオフになる機能など、地震国日本向けの開発がなされています。
その他、アイリスオーヤマ、山善、TEKNOS
などもオイルヒーターを販売しています。
[寒い季節にホットする 電気暖房器具の種類と歴史]でも紹介したように、オイルヒーターは、難燃性の油を密閉した容器内に充填し、その油を電熱器で暖めて循環させて放熱板から放熱し、輻射熱によって部屋を暖める暖房器具です。
オイルヒーターのメリット(利点)とデメリット(欠点)を以下に列挙しておきます。
[オイルヒーターのメリット(利点)]
①オイルヒーターは、灯油やガスを燃焼することがないため、空気を汚すことがありません。また、空気を循環することもないため、チリや埃などハウスダストを巻き上げる心配もなく綺麗な空気を保ちます。そのため、寝室や乳幼児が過ごす部屋の暖房に適しています。
②オイルヒーターは、輻射熱によって部屋を暖めるので、ハロゲンヒーターやセラミックファンヒーターに比べて表面温度が低く、火傷の心配も少なく、体に優しい暖房器具と言えます。
③オイルヒーターは、ファンヒーターやエアコンのような回転する部品を伴わないので、駆動音がなく静かです。ですから、勉強や仕事をしていて気が散るということもないでしょう。また、寝室の暖房にも適しています。
④容器内に充填されている難燃性の油はメンテナンスフリーであり補充などする必要がありません。ですので、普段のお手入れは表面を掃除するだけです。
[オイルヒーターのデメリット(欠点)]
①オイルヒーターは表面温度が高温ではないため、暖房効率は悪く、部屋をすぐに暖めることはできない。通常、電源をオンにして20~30分程度経過しないと本体が暖かくならず、部屋を暖めるために30分以上かかってしまう。
②オイルヒーターは大体600~1200Wの電力で、部屋を暖めるため長時間必要となるので、消費電力が大きくなり、それに伴い電気代が高くなってしまう。
③気密性の低い部屋で使用すると、冷たい空気が流入して部屋の空気がすぐに冷されてしまう。その結果、暖房効果が十分に発揮されなくなってしまう。
④オイルヒーターは小型でも重量が10㎏を超えるほどあり、設置する場所にも注意が必要です。本体が重量のある素材でできているため、もしも倒れた時に怪我をする恐れもあるので、安定した場所で使用するようにしましょう。
オイルヒーターには、上述したようなメリット・デメリットがあるため、使用する場所としては、寝室が最も適していると言えるでしょう。また、窓の下など、すきま風として冷気が入ってくる場所に置くことで冷気の流入を防ぐことができます。
[オイルヒーターを選ぶときのチェックポイント]
上記のようにメリット・デメリットのあるオイルヒーターですが、どのような点に注意して選んだらよいのでしょうか。以下にチェックすべきポイントを列挙しますので参考にして下さい。
□サイズ・重量:中型~大型は暖房性能が高く広めの部屋にも対応可能。小型であれば持ち運びも可能で、場所を固定せずに必要なところで使用できます。
□フィンの枚数・形状:フィンの枚数や表面積が大きければ輻射熱の放出量が増えますので、対応畳数が大きくなります。またフィンの形状は「X字型」と「L字型」があります。「X字型」のほうが総表面積が大きく暖房効率がよく、余熱でも暖かくなります。
□消費電力:オイルヒーターは電気代がかかるというデメリットがありました。消費電力のチェックが必要でしょう。無駄な電量消費を抑える機能が搭載されている機種があると嬉しいですね。
□デザイン:オイルヒーターは、その構造上どれも同じような形態をしています。それでも、ある程度の期間、部屋に置いておくものですので、色調に気を遣うなど、インテリアの一部として違和感のない部屋の雰囲気にあうものを選びましょう。
□安全性:オイルヒーターは表面温度がハロゲンヒーターなどに比べると低くなっていますが、さらに高温になりにくく火傷の危険性が低くなるように設計されている機種であれば、小さいお子さんがいる家庭では安心ですね。
□付加機能:部屋を暖めるだけではなく、安心安全を考慮したさまざまな付加機能があればチェックしておきましょう。
○タイマー機能:オイルヒーターは部屋が暖まるまで時間がかかってしまいます。なので、帰宅時間に合わせて暖房されているようにオンタイマーがあると便利ですね。また、オフタイマーがあれば、無駄な電力消費を抑制して電気代の節約もできます。
○省エネ機能:室温をセンサーで感知して自動的に温度調整をしてくれる機能があれば、電気代を抑えることができて便利です。
○転倒オフスイッチ機能:安全性を考慮して、もしもオイルヒーターが転倒してしまった場合に電源が切れるようになっている機能があると安心です。
[おすすめの機種]
☆デロンギ(DeLonghi) ドラゴンデジタル スマート オイルヒーター ピュアホワイト + ホワイトX字型フィン9枚 10~13畳用 QSD0915-WH
・特徴:ECO運転機能搭載のスマートな高機能モデル。リビングなど広めの部屋に最適な1500Wタイプ。安全性の高い幅広X字型フィン。約60℃のやけどしにくい表面温度。
・サイズ(㎝):幅26.5×奥行53.0×高さ66.0
・重量(㎏):約17.0
・消費電力(W):1500
・電力切換(W):強1500/中900/弱600
・フィン:幅広X字型、9枚
・広さの目安(畳):10~13
・平均表面温度(℃):60
・タイマー機能:デジタルタイマー(24時間ONまたはOFF)
・運転機能:ECO運転(最適な電力レベルを自動調整。設定温度よりわずかに控えめな温度で暖房し、暖め過ぎの無駄を省く)
・安全装置:転倒時自動電源遮断装置、温度過昇防止装置、チャイルドロック、安全プラグ(異常過熱したときに作動してヒーターの電源を切る)
・その他:折りたたみ式キャスター、プラグ収納
アマゾンでは次のようなレビューがありました。(2020年11月29日時点)
*ゆっくりと暖かくなります。電気代金が少し心配かもです。
*さすがデロンギ製品という感じで、堅固な作りで性能も良し。8畳位の部屋でも十分暖かくなります。
*あまり暖かくならないイメージでしたが、とても暖かくなりサーモスタット機能で安全。デザイン大きさ、移動も楽でとても気に入ってます。
*音が無く、優しい暖かさに包まれるのは心地よいものです。
*出力を大にすると、つなぐコンセントによってはデロンギ付属のコードが熱くなり心配。他は満足。
*スイッチオンから部屋が暖まるのに時間がかかるが、逆にスイッチを切っても部屋の温度が下がらず、20~30分は暖かい。電気代は別にしてオイルヒーターはやわらかい暖かさでとても身体によいように思う。
*10畳用を購入しましたが、温度中設定では期待したほど部屋が暖まらない感じで、意外と消費電力が高い感じもしています。狭い部屋で使用する分には問題ないと思います。
優しい暖かさが好評でした。しかし、電気代はどうしてもかかってしまうようです。「一度部屋が暖まればエコモードでも暖かいので、ファンヒーターと兼用すれば無敵ですね」というレビューもありましたので、参考にして下さい。
☆ユーレックス (eureks) オイルヒーター (暖房目安:4-10畳) LFXシリーズ アイボリーホワイト LFX11EH-IW
・特徴:最大10畳まで対応のミドルサイズ。大型のLCD表示パネルで操作と視認性が向上。24時間を1時間毎に温度管理できるオリジナルタイマー。ボタン一つで賢く節電できるエコモ―ド搭載。
・サイズ(㎝):幅20.5×奥行53.0×高さ62.0
・重量(㎏):約18
・消費電力(W):1500/900/600
・フィン:11枚
・暖房の目安(畳):4~10
・室温設定範囲:14~26℃(2℃ごと)
・タイマー機能:マイタイマー(24時間を1時間毎に温度管理)
・運転機能:エコモード機能(設定温度より自動的に1℃低い温度で、最大の消費電力を使用せずに運転)、オートパワー切り替え(室温の変化に応じて4段階のヒーターモードを自動的に選択)
・安全装置:転倒時電源自動OFF、異常運転時自動OFF、チャイルドロック、電子式安全プラグ(温度センサーを内蔵し、電源プラグの異常発熱を検知したときに運転を停止)
・その他:大型LCDパネル
アマゾンでは次のようなレビューがありました。(2020年11月29日時点)
*優しい暖かさ。ガスストーブである程度部屋を暖めてから使うこともありました。
*静かで暖かく、操作も簡単。
*エアコンの風に当たりたくないので購入しました。温度を一時間単位で設定でき、更に2パターンを使い分けられるので省エネです。電気代が心配だったので初めてのオイルヒーターをこれにして良かったです。
*タイマー設定が容易にできるので購入を決めました。(タイマーでAM5時~7時、PM17時~22時に設定して使用。温度は22℃設定。21時頃に部屋に入ると室温は15℃くらいで少し暖かい程度)
*寒くなりかけの頃に購入してフル活用。電気代高っ!と思ったことは無かったのでエアコン並だったのかな?
*タイマーが思うままに設定できるのがとても良い。電気代もエコですが、欲を言えばもっと抑えられると助かりますね。
*エアコンと違って乾燥しないのでとてもよい。エコ運転で900Wとか電力を下げられるのもよい。
マイタイマー(24時間を1時間毎に温度管理できるユーレックスの特許技術)が使いやすく、エコにもつながると好評でした。
電気代に関してもエコモード機能やオートパワー切り替えの機能が働いているせいか、ビックリするほど高くはなっていないようです。
「日本人の生活に合ったオイルヒーターを研究し続けている」ユーレックスの製品は、安心して使用できるといっても過言ではないでしょう。
☆山善(YAMAZEN) オイルヒーター ホワイト DO-TL124(W)
・特徴:空気を汚さず暖房できる。熱が床・壁・天井へ伝わり、部屋全体を均一に暖める。パワー3段階切替。5段階温度調節。視認性の高いLED表示パネルと見やすい操作部。24時間タイマー付き。
・サイズ(㎝):幅53.3×奥行24.2×高さ61.6
・重量(㎏):約11.6
・消費電力(W):強1200/中700/弱500
・電気代目安(1時間当たり):500W時 約14円、700W時 約19円、1200W時 約32円
・フィン:11枚
・運転切替:3段階(強/中/弱)
・暖房の目安(畳):コンクリー住宅8畳まで、木造住宅6畳まで。
・温度調節:低~高(温度調節ツマミ)
・タイマー機能:入タイマー(最大24時間設定可能)、切タイマー(最大24時間設定可能)
・安全装置:転倒オフスイッチ、チャイルドロック
アマゾンでは次のようなレビューがありました。(2020年11月29日時点)
*ずっと着けておくと部屋全体が暖かくなる感じです。結構大きい。
*他のレビューを見て臭いを気にしていましたが、実際つかってみたところ全く気になりません。暖める速度については思っていたより早く20分ほどで暖まりました。
*乳児がいる部屋のクリーンな暖房として購入し、目的は達成しました。ただ、電気代は跳ね上がりました。
*コスパが良かったので購入。結構暖かいですよ。
*タイマー付きを探していたのでこの商品にしました。暖まるまでに時間がかかるため、タイマーは必要です。電子カーペットと一緒に使用して、快適です。
*エアコンと違って部屋全体ちょうどよく温まっていい。床付近だけひんやりとかないのがいいね。
*細かな機能はありませんが、お値段もお手頃ですし充分だと感じます。暖房の乾燥が苦手なので買って良かったです。
*24時間ずーっと稼働させてます。500Wと700Wを使い分けてます。電気代は、エアコンをつけたり消したりしていた以前より安くなりました。
予想以上に暖かく快適に使用しているという方も多くいましたが、暖かくならないという指摘もありました。使用されている部屋の環境に依存するのでしょうが、上記レビューにもあるように例えば電子カーペットと併用するなど工夫されると良いかも知れません。
また、電気代に関しても、気になるという人もいれば、エアコンを使っていた時よりも安くなったという人もいます。強/中/弱の使い分けによって、電気代もびっくりするほど高くはならずに済ませられるかもしれませんね。
上記3機種を紹介しました。
オイルヒーターの特徴、メリット・デメリットを知ったうえで、賢く使用しましょう。部屋の気密性を高め、場合によっては電子カーペットなどと併用するなどすれば、空気を汚さずに静かに優しく暖めてくれるオイルヒーターならではの快適な空間を作れることでしょう。