消毒を済ませたら、きれいな部屋を綺麗な空気のままで暖めましょう。
それには、安心安全な電気による暖房器具がおすすめ。
電気による暖房器具には、お部屋全体を暖めるタイプと、自分の周りだけをピンポイントに暖めたり、トイレや脱衣所のような狭い空間を暖めるのに適したタイプ(局所タイプ)のものがあります。
部屋全体を暖める電気暖房器具には、エアコン、オイルヒーター、パネルヒーターがあります。また、局所タイプの電気暖房器具には、セラミックヒーター、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーターがあります。
[エアコン]
エアコンは、エアー・コンディショナーの略であって、空調設備のことを言います。現在エアコンと言うと、冷房の機能も暖房の機能も備わっている電気機器になりますが、はじめは冷房機能を備えたエアー・コンディショナーであって最初の頃は、空気調整機と呼ばれていました。1958年当時はルームクーラーと呼ばれ、さらに1965年にルームエアコンに呼び方が変更されて、略してエアコンと呼ばれるようになったようです。
現在の暖房機能が備わったのは、冷媒ガスの流れを切り替えて、冷房と暖房ができるヒートポンプ式が発売された1960年からのことです。
その後、開発が進み、部屋の広さに応じて最適に冷暖房をコントロールでき、省エネ機能やAIを駆使した便利な機能も搭載されたさまざまな機種が登場しています。
暖房運転時に、人の温冷感をセンサーが読み取って、異なる温度の温風を吹き分けてくれる「温風吹き分け」機能が搭載された機種も登場しています。
[オイルヒーター]
☆オイルヒーターは、難燃性の油を密閉した容器内に充填し、その油を電熱器で暖めて循環させて放熱板から放熱し、輻射熱によって部屋を暖める暖房器具です。
火も風も出さない暖房器具であるので、換気の心配をする必要もなく、部屋全体を穏やかな暖かさに包み込んでくれます。
オイルヒーターは、ヨーロッパでは広く普及しており、大学などの校舎でも使用されています。日本ではユーレックスが国内唯一のオイルヒーター専門メーカーであり、1989年9月に電子コントロール・ファンヒーター付きのオイルヒーターを発売しています。
[パネルヒーター]
パネルヒーターは、側面の大部分が一枚のパネルで覆われており、内蔵の電気ヒーターがそのパネルを加熱し、パネルからの放熱と輻射熱で部屋を暖めます。パネル表面の温度は30~70℃くらいで、風は出ないため熱風による火傷などの心配はなく、火災、一酸化炭素中毒などの心配もありません。
パネルヒーターは、部屋全体を暖めるタイプもありますし、局所タイプのものもあります。局所タイプであれば2~3kgであり薄型で軽量なので持ち運ぶことも容易にできる暖房器具です。
[セラミックヒーター]
セラミックヒーターは、タングステンなどのヒーター抵抗体(発熱体)とそれを内蔵するアルミナなどから作られた、特殊加工されたセラミックに電気を通すことによりセラミックを発熱させ、その熱で空気を暖めます。非燃焼系の暖房器具なので空気が汚れる心配も少なく、火災も起こりにくいので安全に使用できる暖房器具です。
従来は輻射式のセラミックヒーターでしたが、今日では一般的にファンがついており、ヒーターで発生した熱を送風ファンで室内へ送出しています。また、加湿器や空気清浄機などの付加的な機能がついた機種も登場しています。
[ハロゲンヒーター]
ハロゲンヒーターは、発熱体にハロゲンランプを用いる暖房器具です。ハロゲンランプから発生される放射熱を直接当てて暖めます。空気を直接暖めるものではないので、部屋全体を暖める暖房器具ではありません。
換気の必要もなく電源を入れて数秒で暖まるという特徴がありますが、ランプが露出しているため埃が溜まり、溜まった埃に引火してランプが爆発するという恐れもあるため、掃除をすることが必要です。
[カーボンヒーター]
カーボンヒーターは、不活性ガスに封入された炭素繊維に電気を流して暖める暖房器具です。植物性炭素繊維の赤外線放射量はハロゲンヒーターの約2倍ですので、ハロゲンヒーターよりも電気代を抑えることができます。発熱体が黒鉛の場合はグラファイトヒーターと呼ばれており、カーボンヒーターよりも赤外線の照射量が多く、立ち上がりも早いという特徴があります。
[シーズヒーター]
シーズヒーターは、発熱体のニクロム線を絶縁体で包んで金属管(シース)で覆ったヒーターです。遠赤外線放射量はカーボンヒーターより高く、発熱体が破損しにくいという特徴があります。
シーズヒーターは、抵抗に電流を流して熱を発生させる方式で、効率よく電力がすべて熱に変換されるシンプルな方式です。燃焼加熱ではないため、空気を汚さずとてもクリーンな暖房器具です。
この原理のエネルギー理論は、1868年にイギリスのジュールによって発見されました。ジュールは、「電流によって発生する熱量(Q)は、流した電流(I)の2乗と導体の電気抵抗(R)に比例する」という法則を発見しました。(Q=I²R)
電気抵抗が大きく、温度係数が小さく安定しているニッケルクロム合金線(ニクロム線)はヒーターに使う導体に適しています。
ちなみに、シーズの語源は刃物のさやを意味する”SHEATH”です。シーズヒーターは、刃物ではなく発熱体のニクロム線を金属管のさやに収めたということでしょうか。
次ページから、それぞれの暖房器具の人気おすすめ機種について見ていきましょう。